交叉咬合
【 こうさこうごう/クロスバイト 】

噛み合わせが反対になっている
交叉咬合(クロスバイト)とは、顎がずれて上下歯列のかみ合わせが正常な場合とは反対になっている状態をいいます。成長期に上顎と下顎が左右前後にずれている場合、正常な顎骨の成長を阻害し、いま以上にその状態が悪くなる可能性があります。そのため、かみ合わせのズレだけでなく、顎骨の変形(顎変形症)などを引き起こし、顔の歪み(側方偏位)を生じる可能性がありますので、乳歯列期からできる限り早期の矯正治療が好ましいです。
また、上下顎の歯列が悪いと噛み合わせも悪くなります。奥歯(臼歯部)へ掛かる力の負担が本来よりも大きくなるため、将来的に歯の神経が死んでしまい失活歯となり、長持ちさせることが難しくなります。前歯部の歯列だけが綺麗だと気付くことが遅れがちな症例ですが、将来歯を失わないためには歯周病、歯周炎から歯周組織を守るのと同じくらい対策が必要なものなのです。
原因とは
無意識の癖
指しゃぶり、舌癖、ほおずえ、爪を噛むなどの悪い癖はありませんか?例えば、ほおづえは顎に偏った負荷をかけるため、かみ合わせのバランスを悪くし、顎の成長に悪影響を与えます。また、口呼吸や舌癖なども舌の定位置を悪くし、上下顎歯列の乱れを起こすだけでなく、顎の変形、ひずみを招き、交叉咬合の原因になります。顎が変形してしまうと、外科矯正治療が必要なケースも出てくるため通常の矯正治療だけでは治すのが難しくなります。
将来的なデメリット
✖ 歯並びが悪いために噛みにくくなる
上下の歯が正しく噛み合わないため、食べ物をしっかりと噛み砕くことが難しくなります。そのため、消化不良を起こしやすくなったり、特定の歯にばかり負担がかかることで、その歯の寿命を縮めてしまう可能性もあります。
✖ 顔が曲がって歪んでしまう
成長期のお子様の場合、交叉咬合を放置すると、顎の骨の成長が左右でアンバランスになり、顔が歪んでしまうことがあります。大人になってからでも、常に顎がずれた状態で噛むため、顔の筋肉や骨格に影響が出て、顔の左右差が目立つようになることがあります。
✖ 上下のあごの骨がうまく成長しない
特に成長期のお子様では、上下の歯が正常に噛み合わないことが、顎の骨の正常な成長を妨げてしまいます。これにより、顎の大きさや形にズレが生じ、歯並びだけでなく、お顔全体のバランスにも影響が出る可能性があります。
✖ 顎関節症の原因になりやすい
噛み合わせがずれていると、顎の関節(顎関節)に常に余計な負担がかかってしまいます。その結果、口を開け閉めする時に「カクカク」と音がしたり、痛みが出たり、口が大きく開けられなくなるなどの顎関節症の症状を引き起こしやすくなります。
✖ 肩こり、頭痛が起こりやすい
噛み合わせのバランスが悪いと、顎周りの筋肉だけでなく、首や肩、全身の筋肉にも影響が及ぶことがあります。片側の筋肉ばかりが緊張したり、身体全体のバランスが崩れることで、慢性的な肩こりや頭痛、めまいといった不調につながる可能性があります。
✖ 大人になってから治そうと思ったら外科手術を伴う矯正治療が必要になってくる場合がある
交叉咬合が骨格的な問題にまで発展してしまっている場合、歯だけを動かす矯正治療だけでは改善が難しいことがあります。特に大人になってからでは、顎の骨の成長が終わっているため、外科手術を併用して顎の骨の位置を修正する必要が出てくるケースもあります。早期の治療であれば、手術をせずに改善できる可能性が高まります。