すきっ歯
【 空隙歯列/くうげきしれつ 】

歯と歯の間に隙間が空いている
空隙歯列(くうげきしれつ)とは、歯と歯の間に隙間がある状態のことをいい、すきっ歯と呼ばれます。
特に、よく見られる前歯の真ん中に隙間がある方は正中離開といい、気にされている方が多いです。笑った時などに目立ってしまうため、歯の色を整えるホワイトニングのように審美治療としての、女性を中心に矯正治療例が多くみられます。当院の歯科衛生士の一人もこの正中離開でしたが、矯正治療によって綺麗な歯並びになる症例でした。
また、ラミネートベニア法と言って歯の表面を削りセラミック製の薄い人工歯のようなものを張り付けてしまう方法もあります。しかし、すき間の程度によっては対応できないのと、剥がれたり割れたりするリスクがあります。更に大がかりな場合だと、審美性の高いセラミック製の被せ物(セラミッククラウン)を入れる患者さんもいますが、虫歯でもない健康な歯を大きく削ってしまうという点ではお勧めできません。
そしてダイレクトボンディング法といった、審美コンポジットレジン(プラスチック)を使ってすき間を埋めていく方法もあります。これは歯が欠けた場合や虫歯の修復治療に使われ、その場で修復ができるため治療期間が短くて済むのも利点です。ただコンポジットレジン修復治療をした部分の強度は、どうしてもセラミック治療や天然歯に劣ってしまいます。
すきっ歯を審美的に治す方法はこのようにいくつかありますが、副作用とまではいきませんが何かしらのリスクがあります。結局はご自身の歯がどんな高級素材よりも一番良いということなのです。よって、ご自身の歯を活かして審美性も機能性も高めていく矯正治療こそがすきっ歯にも適した治療法といえるのです。
原因とは
生まれつき歯の本数が少ない
生まれつき永久歯の本数が本来生えてくるべき本数より少ない場合(欠損歯)や、歯の大きさが正常な大きさよりも小さい場合(矮小歯=わいしょうし)は、余剰にスペースが出来てしまい、すきっ歯となることがあります。
上唇小帯(ヒダ)が下まで伸びてきている
上唇小帯(じょうしんしょうたい=前歯の真ん中から唇にかけて続くヒダ)が通常よりも長く、前歯歯肉の歯茎の近くまで伸びてきてしまっている場合は、正中離開(真ん中の前歯と前歯の間にすき間がある状態)になってしまうことが多いです。
口元の癖
歯というものは、小さな力でもそれが続くことで簡単に動いてしまいます。そうして動かしてしまう原因というのが、口元の習癖です。例えば物を飲み込む時に舌を前歯の裏側に押し付ける癖があると、前歯にすき間ができてしまうこともあります。特に幼児期に正しい飲み込み方が習得できなかったり、指しゃぶりの癖が治らなかった場合、すきっ歯や出っ歯になる傾向があります。よって大人の場合は、この癖により後戻りをする可能性があるため、保定装置(リテーナー)を使用することが一般的です。しかし、子どもの場合はトレーニングをすることでこの舌癖を改善し、後戻りをしない環境を作ることが可能です。当院でもこのトレーニングを中心とした小児矯正治療を行っておりますので、是非お問い合わせください。
将来的なデメリット
✖ 発音障害
空隙歯列は見た目だけの問題ではありません。歯と歯の間に隙間がある場合は、空気が抜けたり、息漏れをしやすくなります。特にサ行の言葉を発するときに影響が出やすく、舌っ足らずな話し方になってしまうことがあります。英会話の時にも影響が出ることが考えられるので、最近は、そういったことも踏まえて、早めに悪い歯並びであることを気付かれた人は早めに矯正治療される方が増えています。
✖ 歯周病が進行しやすい
正しい歯並びだと、歯と歯がぴったりとくっついているため食べ物の残りなどがあまり挟まらないようになっていますが、歯と歯の間に隙間がある場合には、そこに食べ物が挟まりやすくなります。そのまま隙間に食物残渣が残っていると、そこで細菌が増殖し、炎症が起こることになってしまいます。そうして、ほっておくと歯周病が進行してしまうのです。
治療に使用する装置
ワイヤー矯正
当院ではブラケットとワイヤーを使った、部分的ワイヤー矯正治療で、広がった歯列を詰める治療を行っています。使用する矯正装置(ブラケット)は透明感のある白いセラミックでできているため。すべて金属でできている装置に比べて目立ちにくくなっています。

マウスピース型矯正装置
ワイヤーよりも違和感のない、インビザラインというマウスピース矯正でも治療可能なケースもあります。
このインビザラインでは、透明なマウスピース型の装置を使うのであまり目立つことなく矯正が行えます。装着中に写真を撮ってもほとんど分からないほどです。一日に一定の時間、ご自身で取り付けていただきます。取り外しも簡単ですので、目立たなくても違和感が出たりする舌側矯正に比べてもメリットが多いです。そして軽度であれば、前歯だけのマウスピース型部分矯正治療でも対応できるケースもあります。
