なぜ矯正治療をした方がいいのか？（子ども）

成長に合わせて無理なく、負担の少ない矯正治療

大人の矯正治療と子どもの矯正治療の大きな違いは、歯を支える骨の成長の有無です 。大人の矯正では骨の成長が止まっているため、歯を並べるスペースが足りない場合、永久歯の抜歯が必要になることがあります 。

一方、子どもの矯正治療は、顎の骨が成長している時期に行うため、この成長を利用して永久歯が生えてくるための十分なスペースを確保できます 。そのため、お子様の矯正治療では抜歯をほとんど行わず、お子様への身体的負担を少なく矯正治療を進めることが可能です 。

「うちの子はいつ頃から矯正治療を始めたらいいですか？」というご相談をよくいただきますが、お子様の矯正治療において特に重要なのは上顎の成長です 。一般的に、上顎骨は小学校低学年から中学年（6～9歳頃）に成長のピークを迎えるため、この時期が治療開始の目安となります 。上顎骨が正常に発達することは、顔全体の骨格形成だけでなく、歯並びにも大きく影響します 。下顎骨の成長は思春期にピークを迎え、より遅くまで成長が続きますが 、上顎骨の成長が下顎骨の成長に大きな影響を与えるため、早期の上顎骨の適切な誘導が大切です 。

歯並びも顔立ちも理想的な状態へ

子どもの頃に歯並びが悪いと、永久歯がきれいに生え変わるための「スペース」が不足していることがほとんどです 。これは、お子様の顎やお顔の骨格が正常に発達していないことが原因である場合が多いのです 。スペースが足りないまま永久歯が生えてくると、歯がガタガタになったり、出っ歯になったり、本来生えてほしくない場所から歯が生えてきてしまうことがあります 。永久歯への生え変わり時期に矯正治療を行うことで、将来的な歯並びを整え、健康な永久歯列へと導きます 。

また、顔立ち（顔貌）は遺伝的な要素もありますが、お口の使い方や歯並びによっても変化します 。特に顔の骨格が正しく成長するかは顔立ちに大きく影響するため、骨格の成長途中にあるお子様の段階で矯正治療を行うことで、より本来あるべき理想的な顔立ちに近づけることができます 。口呼吸などのお口の悪い癖が顎骨の成長に悪影響を及ぼし、顔立ちにも変化を与えることがあるため、早期にこれらの癖を改善することが重要です 。

悪い歯並びの原因となる癖を予防

お子様の歯並びが悪くなる原因は遺伝だけでなく、「お口の悪い癖」が大きく関係しています 。例えば、指しゃぶり、舌を出す癖、唇を噛む癖、口呼吸、寝る姿勢、食事の食べ方など、さまざまな要因が挙げられます 。

例えば舌を出す癖があると、歯並びが悪い状態ではさらにその癖を助長し、永久歯が生え変わる際に舌で前歯を押してしまい、出っ歯になることがあります 。矯正治療によってきれいな歯並びを獲得し、早い段階でこれらの癖を防止することで、長期的な歯並びの安定にもつながります 。また、学校の給食や保育園のおやつなどで食べ物を詰まらせるような事故は、嚥下の異常（飲み込み方の問題）が原因であると言われています 。

アレルギーや病気の予防にも

歯並びが悪くなる原因の一つに「口呼吸」があります 。人間は本来、鼻呼吸をする生き物であり、口呼吸を続けていると全身にさまざまな悪影響が出ることが知られています 。

「たかが口呼吸」と思われがちですが、空気中の細菌が直接口から入るため、免疫力が低下して風邪などの感染症にかかりやすくなったり、花粉症、アトピー性皮膚炎、扁桃腺肥大（アデノイド肥大）、鼻詰まりなどにつながったりします 。さらに、口呼吸のまま成長すると、どこかの時期でいびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクが上がり、寝不足による免疫力低下を招くこともあります 。矯正治療で正常な骨格と顎の成長を促し、鼻呼吸を習得できれば、アレルギーやさまざまな病気のリスクを軽減できるようになります 。

虫歯の予防にもつながる

矯正治療で歯並びをきれいにすることは、虫歯や歯周病の予防につながります 。大人と同じように、お子様の場合も歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい部分ができ、磨き残しがたまりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります 。

お子様の永久歯に一度虫歯ができてしまうと、一生に一本しかない大切な歯を削らなくてはならず、再治療の負のサイクルにつながる可能性があります 。ただし、矯正装置が入ることで一時的に歯磨きが難しくなる場合もあるため、お子様だけでなく、親御さんの歯磨きサポートも非常に重要になります 。

お子様の大切な歯を守るためにも、磨きやすい歯並びをなるべく早く獲得することをおすすめします 。

お子様の矯正治療は、成長途中だからこそできる“今しかできない治療”です 。きれいな歯並びは、お子様への最高のプレゼントとなるでしょう ！